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カメラマン後藤悠樹:サハリンプロジェクトと由来の価値について

Updated: May 4


カメラマンの後藤悠樹さんは、10年間以上サハリンに通い、残留の日本人や朝鮮韓国人の写真を撮って、最近写真集『サハリンを忘れない』を出版しました。

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後藤 悠樹 (ゴトウ・ハルキ)

 1985年生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。 2006年よりライフワークとしてサハリン(樺太)の撮影を始め、定期的に長期滞在を繰り返す。サハリンでは、1945年以前生まれの邦人家庭を中心に取材を続け、被写体に寄り添うようなスタイルで写真とともに原稿にて作品の発表をする。2014年には北海道大学の研究者との共同プロジェクトを発足。そして、その成果物として2016年には、「サハリン残留 日ロ韓100年にわたる家族の物語 高文研 (主に写真担当)」を刊行。

 近年の写真展には「春が来るまえに」(新さっぽ ろギャラリー 2014)、「降りしきる雪、その一片が人を 満たすまで あれから三年─ MOMEHT ─」 (Juna21 新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン2013-2014)などがある。広告写真家のアシスタント、アパレルカメラマンを経て、現在写真館勤務。

Q.サハリンとの繋がりがどのように始まったのかというところから聞かせてください。

偶然だったんです。まだ19歳で、カメラをやりはじめたころ、 「外国へ行きたい」と思ったんです。候補地をしぼるにあたって条件のようなものを3つ、設定しました。 何かしら日本と関係あって、 なるべく情報が少なくて、北のほうにある国。北海道の上に伸びている「真っ白い島」が、 目に留まったんです。 「‥‥え、こんなところに こんなに大きな島、あったっけ?」って。さらには、そのサハリンに、いまでも 日本から渡った日本人が住み続けていることや第二次大戦のときに地上戦があってたくさんの人が犠牲になったということとか‥‥。そういう歴史のことをはじめ、サハリンのことを知るたび、どんどん気になって。

でもそのうちに、1冊の本に出会ったんです。吉武輝子さんという人が書いた、『置き去り』。その本には、「サハリンには 何人もの日本人のおばあちゃんがいる」って。ぼく、そのことを知って、 ものすごく、サハリンに行きたくなったんです。

写真:後藤悠樹

Q.サハリン残留たちとのコミュニケーションをどのように取れましたか。(特に言語問題など起きていなかったでしょうか)

主に話を聞くお相手が一世なので、言語問題は特にないです。二世、三世とはなんとなくのロシア語だったり一世が通訳でした!

Q.そのプロジェクトには一番難しいところは何でしたか。

難しいところは、写真を撮らせてもらったり、話を聞かせてもらったり、それをまとめたり、出版社に行ったり、本にしたり、その告知をしたり、、。要するに全部です。難しいところや大変なところ、楽しいところはたくさんありますが、楽なことは一つもありません。本当です。

Q.サハリンたちとの取材の時に色々なご馳走を食べましたですね。その中に三つ一番美味しい料理はどちらでしょうか。

カルバサ、ナムル、魚、ブリヌイ、ペリメニ、チーズ、ボルシチ、ニシン、イクラ、ウクロプ、ダーチャの野菜、スンデ、、、、サハリンで食べたもの全部美味しかった!

写真:後藤悠樹

Q.『サハリンを忘れない』には写真やテキストがありますね。あなたにとって感覚を伝える方法としてどちらの方がいいですか。

写真にもテキストにもそれぞれいいところがあります。人の歴史は写真では記せませんし、その人の顔や住んでいる街などは、テキストにすると膨大ですし、また、正確には表せません。写真とテキストを使い分けていますが、どちらも表現です。これもサハリンらしいですね。向こうにいるときによく思いますが、伝える言語は違うけど伝える中身は一緒です。

写真:後藤悠樹

Q.写真家として自分の活動に一番強い影響与える3人ぐらいの写真家を言えますか。

写真家限定としだと、ジム ゴールドバーク、ナン ゴールディン、ロバート フランク、星野道夫、新正卓、渡部兼人、、、たくさんいすぎて50人くらいになりそう。

写真:後藤悠樹

Q.後藤さんのブログには「由来は、自分自身に直接しているもんで、近代史がぐっと身近なものになってくる」という言葉があります。現在の世代にとって「由来」はどうして重要なことですか。

インターネットを初めとして技術の変化などにより社会が変わり、どんどん由来や、昔からの習慣が薄くなっているように思います。由来や習慣とは、コンビニの特売や経済のためにあるわけではなく、それは土地との約束で、人がなぜそこに生きているのか、なぜその習慣を受け継いできたのか、はるかな歴史の積み重ねが土地との約束となっています。それを完全に失った時(または経済に売り渡した時)、人間は途方にくれるのではないでしょうか。そこで生きている理由がなくなることになりますし、昔からの積み重ねが断絶します。断絶すると二度と戻りません。

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ところが、この間後藤は写真集『サハリンを忘れない』を出版しました。amazonでご注文いただけます。

また出版を記念して3月16日(金)から25日(日)まで東京で写真展も開催されます。初日の3月16日は会場で15時と19時の2回、北海道大学のパイチャゼ・スヴェトラーナ助教と後藤さんの対談も行われます。後藤さんの本は写真展の会場でもご購入いただけますので、お近く方はぜひお出かけください。

後藤悠樹写真展

日 時:2018年3月16日(金)~25日(日) 12:00~20:00 *期間中は休みなし

会 場:セッションハウス・ガーデン( 03-3266-0461 )

東京メトロ東西線「神楽坂」すぐそば)

入場料:500円

後藤悠樹さんのブログもご覧ください。

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